irony (Centre Pompidou)

Oct. 7, 2008

パリのポンピドゥー・センターに行きました.

いうまでもなく,レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースの設計による文化施設で,
ジャン・プルーヴェが審査委員長を務めた国際コンペを経て,1977年に開館しています.

構造や配管やエスカレータがむき出しになった外観は,マシン・ユートピア的デザインの
批判的再来として,1970-80年代に展開したハイ・テック・スタイルの先鞭をつけたものですが,
しかしこの建物は,パリの美しい街並みの中にあって,ものすごく異様な姿を晒しています.

そして容易に想像できることですが,このデザインは,当時のパリ市民の中でも
賛否両論あったようです.

ところが,このむき出しになったエスカレータでポンピドゥーの最上階まで登ると,
パリの街を,周囲の屋根のラインのやや上から見下ろす構図が得られます.

これは,それまでパリにはなかった視点だと思うのですが,そこからは,
周りの建物のむき出しになった煙突やら,汚れた妻壁ばかりが見えて,
地上レベルからはあんなに美しく見えたパリが,とても汚らしく見えるのです.

つまり,醜いはずのポンピドゥーの上から見れば,美しいはずのパリも醜く見えて,
所詮ものの美醜なんてその程度のものだ,という非常に高度なアイロニーとして,
この建物はデザインされているように思えます.